大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は太ももの前側の筋肉の総称です。人体の中で最も大きな筋肉です。2位が大殿筋(お尻の筋肉。ちなみに大腿四頭筋は4つの筋肉の総称なので、単体の筋肉の場合は大殿筋が1位になります。)、3位がハムストリングス(太ももの裏側)ということで、大きな筋肉は下半身が占領しています。
お腹が気になる方という方は多いと思いますが、実はお腹の筋肉(腹直筋)は10位以内にも入りません。これが当店が「痩せたい、引き締めたい、代謝を上げたい、体力・筋力をつけたいなら下半身を鍛えましょう」としつこくしつこく言う理由です。たとえお腹のぜい肉を取りたい場合であっても、腹筋運動より下半身を鍛えることが近道なのです。大きな筋肉を鍛えることで、はじめて代謝が上がり、脂肪がつきづらく・燃焼しやすい体になるからです。
「だったら、手っ取り早く痩せたいから、一番大きい大腿四頭筋ばかりを鍛えよう!」が正解かというと、そんな単純な話でもありません。
ワークアウト第1・第2を受けていらっしゃる方は私の「お尻を意識して」「もも裏に効かせて」「太ももの前側で頑張り過ぎないで」といった言葉、聞き飽きていると思いますが・・・でもこれからもしつこ~く言い続けます!今後も言い続けはするのですが、先日、あるお客様に言われた言葉に少々反省もしました。その方は「太ももの前側が筋肉痛になっちゃいました。ダメなんですよね?」とおっしゃられてました。ダメではありませんよ!大腿四頭筋だってと~っても大切な筋肉です。なんせ大きさNo.1ですからね!大腿四頭筋が強くなることだってとても嬉しいことです。大腿四頭筋も重要であるということを踏まえた上で、私が強調したいことは・・・
ほとんどの人が大腿四頭筋が強く、大殿筋やハムストリングスといった体の裏側の筋肉が弱い(もしくは十分に使えていない)。だから、トレーニングの際には裏側を特に意識しないと得意の大腿四頭筋ばかりを使ってしまい、いつまでたっても裏側を使えるようにならない。だからお尻ともも裏を意識しましょう。
ということです。これを端折って、「お尻」「もも裏」と言い続けたので、上記のような誤解を招いたのだと思います。スミマセン。
「ブレーキ筋」と「アクセル筋」ってご存知ですか?私はこの呼び方、知りませんでした。サッカーや短距離をされる方はもしかしたらご存知かもしれません。
ブレーキ筋とは主に大腿四頭筋のことのようで、その名の通り、ブレーキをかける筋肉です。
一方のアクセル筋はハムストリングスのことで、瞬発力を発揮したり、加速したりする時に使われる筋肉です。
ちなみに1枚目の画像のネイマール選手の走り方は姿勢からハムストリングスが使われていることが推測されます。一方の2枚目の香川選手の走り方は大腿四頭筋が強く働いている姿勢に見えます。
両選手の走り方を批判・批評するつもりはさらさらないですし、お二人とも素晴らしい選手だとは思いますが、スポーツ選手のトレーナーの中には、大腿四頭筋をメインに使った走りを良しとしない考え方の方もいるようです。そういう方は、選手がよりハイスピード・ハイパワーで動けるように、アクセル筋であるハムストリングスを強化し、ブレーキ筋である大腿四頭筋を過剰に使わないように指導するようです。
当店のお客様もスポーツをされている方は大勢いらっしゃり、そういう方から「もも裏を使って走るという感覚がわかるようになってきた」という言葉は何度か頂いたことがあります。スポーツをされる方にとっては、もも裏やお尻の強化というのはパフォーマンスを上げる意味で大切なことと思われます。また、ハムストリングスは肉離れを起こしやすい部位でもあるので、ケガの予防という意味でも普段から強化することは大事だと思います。
では、「私はスポーツはしてないから、別にブレーキ筋もアクセル筋も関係ない。太ももさえ細くなればいい。」という方は、大腿四頭筋ばかりを鍛えても大丈夫なのでしょうか?
画像の方、太ももの前側がかなり張っていますよね?逆に、お尻と太ももの境目があまりはっきりしていません。この方がトレーニングの習慣があるかどうかはわかりませんが、下半身がこういう形の方は、普段から大腿四頭筋を使い、裏側の筋肉があまり使えていない可能性があります。
こちらの画像の女性はどうでしょうか?(ちなみに顔は切ってしまいましたが、日本人の方だと思います。)太ももとお尻の境目がはっきりし、前ももの張りも強くありません。どちらの形が理想的ですか?もしこちらの女性のような形が理想的であれば、鍛えるべきは大腿四頭筋ではなく、大殿筋とハムストリングスです。
当店のレッスンで、スクワット系の動きをする時には、「できるだけ膝を後ろに引いて」と言いますので、画像の左のような形は間違いだと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの形も間違いではありません。膝がつま先より大きく出てしまうスクワット(そういうスクワットもあるにはあります)は膝にかかる負担が大きくなるので、あまりおすすめをしていませんが、左の画像のようにつま先の上あたりに膝がくる方法は「正統派」のスクワットです。
ただし、上述のように大腿四頭筋が強く、裏側が弱いという方の方が圧倒的に多いという状況を踏まえて、レッスン中は右の画像のように、できるだけ膝を引いた形のスクワットを指導させていただいてます。
「武田真治のスクワットと違う!シャキットのスクワットおかしい!」って思わないで下さいね~。どちらも正しく、大事なことはどちらの筋肉をより鍛えたいかということです。
「膝を後ろに引くスクワットはバランスが取れない」
「お尻に効いている感じがイマイチわからない」
という方は、画像のような方法を是非試してみて下さい。膝を前に出さないでお尻を落としていく練習です。
画像では膝の上にバンドを巻いていますが、ベルトなどで代用可能です。なくてもOKです。お尻を可能な限り後ろに引きながら落としていきます。大殿筋が働くはずですので、感じ取りながら動いてみて下さい。
文:真木