女性と運動

 

 

本日のブログのラインナップは・・・

 

🙄生理前・生理中は運動しない方がいい?!

🙄妊娠中の運動は厳禁?!

🙄閉経後 ホルモン補充療法VS運動

 

となっております!

 

男性は直接的には関係ないテーマになりますが、周りに悩まれている女性がいれば教えてあげて下さい。男性がこういうテーマにあまり詳しいとドン引きされる危険性もありますが・・・

 

ちなみに今回の内容も前回のブログでご紹介した書籍「脳を鍛えるには運動しかない!」からとなります。

 

 

ホルモンバランスを整える〇〇』 

『その〇〇はホルモンバランスの乱れが原因!』

こんなキャッチコピー、雑誌などでみかけませんか?ホルモンってそもそもなんなのでしょう?

 

簡単に言ってしまえば、ホルモンは人体のさまざまな働きを調整する物質です。血液中にはごく微量しか存在せず、例えて言うなら「50mプールにスプーン1杯程度の少なさ」なのだそうです。判明しているだけでも100種類以上のホルモンがあり、これは今後も増え続けると考えられています。

 

ホルモンという言葉の由来はギリシャ語の「刺激する」です。その由来通り、内分泌腺という細胞でつくられたホルモンは血液中を流れ、標的となる細胞に到達し、そこでその細胞を「刺激する」働きをしています。(血液中に流れ出ないで、すぐ隣の細胞に働きかけることもあります。)

 

例えば、体が水分不足の時には

・血圧を維持するホルモンが出る

・腎臓に働いて、水分(この場合は尿)が逃げるのを防ぐホルモンが出る

・脳に働いて、のどの渇きを感じさせるホルモンが出る

といった具合に働きます。

 

 

ホルモンは一生を通じて、私たちの行動、気分そして性格をも大きく左右するのです。成人男性のホルモンレベルというのはほぼ一定なのですが、女性の場合は変動し続けます。ホルモンの影響だと自覚しているかどうかは別として、多くの女性が大なり小なり影響を受けています。

 

「月経前症候群」は月経前3~10日ほど続く精神的・身体的症状で、月経開始とともに軽快・消失するものをいいます。症状としては、情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、胸の張りなどがあります。盛りだくさんですね~。78割の女性が何らかの症状を感じるそうなのですが、皆さんはいかがでしょうか。

 

月経前症候群はもちろん、生理痛や更年期障害の程度というのは個人差が大きいですが、これはホルモン量の多い・少ないによるものではないそうです。量ではなく、ホルモンの変化による神経科学的変化に対する感受性が原因のようです。簡単な言葉に置き換えると、「ホルモンに反応しやすい人」と「しづらい人」がいるということのようです。

 

月経前症候群のある女性とない女性の脳の活動を比較した実験では、症状のある女性はトリプトファンを脳の前頭前野にうまく取り込むことができていないという結果が出ました。トリプトファンはセロトニンの前駆物質(トリプトファンが脳内でセロトニンに変化する)で、セロトニンは気分や行動を制御する働き(例えば、怒りを抑える)があります。生理前になるとやたらイライラして些細なことでも気に障るという方は、トリプトファンのレベルが低い可能性があります。トリプトファンのレベルを上げると症状が緩和するのですが、それができるのが運動です。体を動かすと血液中のトリプトファンの量が増え、それにともなって脳内のセロトニンの濃度が上がるからです。

 

生理前・生理中は身体的にも精神的にも辛いから「ひたすらじっとして、嵐が過ぎ去るのを待つ」とうのは、どうやら逆効果のようです。生理で起こるホルモン変化による体と心の反応を運動はトーンダウンしてくれる、つまり運動は嵐を起こすどころか、逆に鎮めてくれるということです。

 

では妊娠中はどうでしょうか?一昔前までは「妊娠中は運動を控えるべき」と考えられていましたが、2002年には、アメリカ産婦人科学会が妊婦さんと産後の女性に日に30分ほど中程度の有酸素運動を推奨しました。

 

 

また、ドイツで行われたちょっと珍しい実験のご紹介です。50人の妊婦さんに協力してもらい行った実験です。なんと分娩室にエアロバイクを運び込んで、運動が陣痛にどう影響するかを調べたそうです。妊婦さんには、出産直前まで休みを入れながらエアロバイクをこいでもらったそうです!84%の妊婦さんが休憩中よりエアロバイクをこいでいる時の方が陣痛が和らいだと答えたそうです。私自身は今後、妊娠・出産の予定は残念ながら皆無ですが、もし陣痛の苦しみがエアロバイクで和らぐのであれば、ぜひ分娩室に導入してあげてほしいものです・・・()

 

ということで、妊婦さんだからといって運動を控える必要はないようです。(もちろん、産婦人科医に相談の上だとは思いますが。)

 

では、もう少し時計を進めて・・・閉経後の女性と運動にはどのような関係があるのでしょうか。 

 

加齢によって卵巣の働きが弱くなると、エストロゲンなどの女性ホルモンの生産が衰えます。この「卵巣機能が減退し始め、消失するまでの期間」が更年期です。更年期は閉経の前後数年間をさしますが、閉経の年齢は個人差が大きく、40代前半の方もいれば、50代後半以降という方もいます。

 

更年期障害の治療の1つにホルモン補充療法(HRT)があります。その名の通り、自前で分泌できていたエストロゲンの3分の1程度の量のエストロゲンを補充する治療法です。日本ではこの治療を受けている女性は2%ほどしかいないようです。アメリカでは2002年にHRTを受けている女性はそうでない女性に比べて、乳がんの発症率が26%、脳卒中は41%、心臓発作は29%高くなるという、聞くだけでも恐ろしい研究結果が米国国立衛生研究所によって発表され、何百万人もの女性がHRTをやめるということが起きたそうです。ただ、HRT=乳がんという考えはあまりに早計で、日本人を対象に行われた研究では、HRTで乳がんにかかるリスクが上がるというデータはないということが2008年に発表されています。

 

HRT以外の治療法としては漢方薬や抗うつ剤・安定剤などの服用もあります。いずれも薬である以上、副作用は多かれ少なかれあります。その点、この書籍では「運動は長期的な副作用は一切なく(体が慣れるまでは筋肉痛とかはありますが・・・)、しかも病院に行かなくても、自分で効果を確認できるというお手軽さもある」と閉経後の体の変化に対処する方法として運動をすすめています。ちなみに、883人の45歳から60歳の女性を対象に行われた調査では、運動している女性はそうでない女性に比べて、身体的・精神的症状が「極めて」少なく、運動は更年期の女性の幸福感や生活満足度に多大な影響を及ぼすということも書いてありました。

 

著書のレイティさんは運動と女性ホルモンに関するこの章をこう締めくくってます。

 

「年とともに体が変化しても、運動はあなたの心を強くし、鍛え続けてくれる。精神が健全な状態にあってこそ、すべての女性が一生を通じて経験するホルモンの変動に対して準備ができる。言うまでもなく、人生そのものの浮沈に対しても。」

 

 定期的に運動をされている方であれば、その様々な効果をきっと感じていらっしゃることと思います。体の見た目が変化するということもありますが、それ以上のパワーが運動にはあって、それは気のせいでもなんでもなく、科学的にもしっかりと証明されているということがわかれば、ますます運動が楽しく感じられるのではないかと思います。

 

文:真木