今回は2019年10月31日のブログを書き直し、再掲します。
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先日のプチ断食茶話会でも少し話させていただきましたが、改めて「体重とカロリーの関係性」について書きたいと思います。
私自身が長らく信じてきたものが上の画像です。
体から出ていくカロリーが、体に入ってくるカロリーより小さいと(消費カロリー<摂取カロリー)太る
体から出ていくカロリーが、体に入ってくるカロリーより大きいと(消費カロリー>摂取カロリー)痩せる
という理論です。ほとんどの方がかつての私と同じように、この理論を信じていることと思います。この理論を信じていた以前の私は、体重を落とすためにこんな行動をしていました。
●コンビニでパンを買う時に、裏面に記載されているカロリー表示を確認し、カロリーの小さいものを選ぶ
●ご飯の量を半分にし、代わりに豆腐やキャベツを食べる
●調理する際に油を極力使わないようにする
これは全て、体に入れるカロリーを少しでも抑えるためにやっていたことです。
アメリカで2004年から2016年まで放送されていた人気番組「Biggest Loser」は、一般人の出演者がどれだけ体重を落とせるかを競う番組でした。12年間の放送期間中に参加者が落とした体重の合計は10トン以上だそうです😲
大人気の番組だったそうですが、急激な体重減少は体に悪影響を与えるという意見が出たり、減量のためにピルを使用したケースなどもあり、批判も多かったようです。
番組終了6年後にある論文が発表され、その内容はニューヨーク・タイムズやABCニュースなどの大きなメディアでも報じられました。その論文とは、番組参加者の「その後」を調査したもので、多くの参加者たちの体重が元に戻っていたという結果に衝撃が走ったそうです。
なぜ、参加者たちの体重は元に戻ってしまったのでしょうか?
人体には「代謝適応」というメカニズムがあります。このメカニズムには、体重が落ちた時に「安静時代謝」を下げる働きがあります。
私たち人間は寝ている時や座ってテレビを見ている時など、体を一切動かしていなくても、呼吸をするだけでエネルギーを消費します。これが「安静時代謝」です。
なんらかの理由で体重が落ちると、「代謝適応」のメカニズムが作動し、これ以上体重が落ちないようにと「安静時代謝」を体が勝手に下げてしまうのです。安静時代謝が下がってしまえば、その分、エネルギーは消費されなくなってしまいます。痩せるためにはエネルギーを消費した方が良いので、ダイエット中の人からすれば、「勝手に安静時代謝下げないでよ!」と言いたいところですが、体からすれば「これ以上、体重が落ちたら危ない!死んだら困る!」となるようです。
上の画像では、2つの天秤に乗っている「摂取」は変わらないのに、「消費」は右側が減っています。例えば、元々体重が70キロだった人が、50キロまで体重を落としたとします。代謝適応のメカニズムにより、同じ量のカロリーを体に入れたとしても、体が消費エネルギーを下げてしまいます。画像は体重が落ちるほど消費カロリーが下がってしまうことを表しているのです。別の例えで言うなら、減量で体重が50キロになった人の安静時代謝は、元々50キロの人の安静時代謝よりも低いということです😭
話を「Biggest Loser」に戻します。
この番組の参加者たちのダイエット方法は「カロリー制限」でした。
番組の画像を見てみると、参加者の方々はなかなかの巨漢です。数十キロは減量していると思われます。そうなると、上述の代謝適応により、安静時代謝もそうとう落ちていると予測できます。
落ちたままの体重をキープするには、安静時代謝が減った分を補うだけの運動をするか、カロリー制限を「永遠に」続ける必要があります。そんなこと、どう考えても無理ですよね?カロリー制限ダイエットでリバウンドする理由の1つがこの安静時代謝の低下です。
カロリー制限ダイエットのデメリットは他にもあります。多くの研究により、カロリー制限ダイエットはレプチンが減り、グレリンが増えることが分かっています。レプチンは食欲を抑えるホルモンで、グレリンは食欲を増進させるホルモンです。
元々50キロの人よりも、カロリー制限によって50キロに痩せた人は、このホルモンの乱れにより、「日常的な空腹感」に悩まされることになってしまうのです😱これもカロリー制限ダイエットでリバウンドを起こしやすい要因です。
ではグレリンを増やさないで体重を落とすにはどうしたら良いのでしょうか?それが断食です。(断食には色々な方法があり、私は手軽な16時間がおすすめですが、方法論については今回は書きません。)
カロリー制限ダイエットでは増えてしまうグレリンが断食では減少することが、さまざまな研究により判明しています。
では安静時代謝はどうでしょうか?嬉しいことに、断食では安静時代謝は低下しないということが、これも複数の研究により判明しています😊
安静時代謝を下げない、食欲を増進させるホルモンを増やさないという観点から見ても、減量を成功させたいのなら、カロリーを犯人扱いするよりも、食べない時間を設けることの方が得策だと思います。
ところで、なぜカロリーが諸悪の根源のような論調ができてしまったのでしょうか?
1860年代頃から現在の栄養学の研究が始まりました。そして同時代にドイツでカロリーを算出する機械(熱量計)が開発されました。
その約100年後にはアメリカの医学研究者によって、血液中のホルモンを測定できる技術が開発されました。それ以前はホルモンや酵素などは微量すぎて計測できなかったそうです。(その後、この研究者のロサリン・ヤローさんはノーベル生理学・医学賞を受賞しました。)
残念ながら、血中ホルモンを測定する技術が確立した頃には、すでに世の中には「減量したけりゃカロリー減らせ」という風潮がすっかり根付いてしまったそうです。そして、その論調をいまだに払拭できないでいるということのようです。
最後に、プチ断食を行っているというお客様へのお願いです。
今回の茶話会をきっかけにプチ断食を始められた方もいらっしゃるようで、とても嬉しく思っています。また、すでに始めてから数カ月経っている方も含めると、私が把握しているだけでも20名近くの方がプチ断食中だと思います。
結果は個人差が大きく、早い段階で2キロ以上落ちている方もいれば、体重に変化がないとおっしゃっている方もいらっしゃいます。
現状がどうであれ、「焦って結果を求めないで下さい」というのが私からのお願いです。
茶話会でもお伝えしましたが、断食はカロリー制限ダイエットのような「急激な結果」は出ません。それは、断食によって上述のグレリンやインスリンの分泌を正常な状態に戻していくために、ある程度の時間を必要とするからです。また、これも茶話会でお伝えさせていただきましたが、今の体重になってからの年月が長い方は、結果を出すまでにも時間がかかるのだということを頭に入れておいて下さい。時間はかかるかもしれませんが、習慣化できれば、正に一生ものです。太る痩せるを繰り返さないためにも、そして体重うんぬんだけではなく、健康になるためにも、焦らず気楽に取り組んで下さい。
文:真木
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