今回は2019年11月17日のブログを書き直したものを再掲します。
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先日、息子が共通テスト(去年までのいわゆるセンター試験)を受けました。その日の夜、ラインで「爆死しました。」という一文を送り付けてきました😅2月に2次試験がありますので、まだ結果は出ていないのですが、今年は厳しいかな・・・と腹をくくったつもりではいます😓
今となっては信じられない話ですが、一昔前までは、人間は生まれながらに脳の大きさが決まっていると信じられていました。頭の良い人は大きな脳を持っており、そうではない人の脳は小さめ。大人になると脳の神経細胞が作られることはなく、年齢を重ねるごとに神経細胞は減っていく。こんな風に考えられていたのです。
ちなみに画像の左が人間の脳、右がイルカの脳です。イルカの脳の方が大きいですし、なんか立派ですよね😆イルカはかなり高い知能を持っていると考えられていますが、この脳を見ると妙に納得してしまいます。ただ、見た目の大きさが大きいからと言って、人間よりイルカの方が知能が高いということではないそうです。
大人になっても脳は成長するということがわかってきたのは、90年代中頃のことです。アルツハイマー病の研究が進む中で、発見されたことだそうです。
アルツハイマー病は進行性の病気で、記憶や思考能力が低下する病気です。アルツハイマー病になると、脳の神経細胞がお互いに連絡し合う能力を失い、最終的に死滅してしまいます。結果、画像のように、脳が小さくなっていきます。
4年に及ぶ研究の結果、アルツハイマー病に伴って生じる認知機能の低下を予防することができる3つの習慣が判明したそうです。
1つ目は「学習する」です。勉強はもちろん、読書でも良いそうです。何かを学ぶ、学び続けることで予防できるそうです。
2つ目は「自己効力感」です。「ある状況の中で、必要な行動をうまく遂行することができると自分自身が認識する」力なのですが、平たく言えば、「自分はできる!」というセルフイメージを持つことだと思います。
3つ目が運動です。この3つ目の発見に多くの研究者が驚いたそうです。確かに、今でこそ、運動することは脳にも良いという考え方が定着したと思いますが、「トレーニングばっかりしている人は脳も筋肉でできている」というようなジョークがあったり、小学生くらいの時には「勉強が得意な子は体育が苦手、体育が得意な子は勉強が苦手」みたいなレッテル貼りも存在したように思います。
カリフォルニア大学のカール・コットマン教授によって行われた実験では、運動が脳にどのような変化をもたらすかが検証されました。
マウスを2つのグループに分け、片方は回し車で走らせ、もう片方には全く運動をさせないようにしました。結果、運動をしたマウスのグループでは、大脳皮質が厚くなり、海馬も大きくなったそうです。それまで信じられていた「生まれながらに脳の大きさは決まっていて、大きくなることはない」という考えが否定され、「運動によって脳の新しい神経細胞が作られ、脳が大きくなる」ということを証明したのです。この発見は科学界に大きな衝撃をもたらしたそうです。筋肉は鍛えれば強化され、使わなければ弱化します。それと同じことが脳にも起こるのです。
そもそも脳というのはなぜ存在するのでしょうか?考えるため?記憶するため?知識を吸収するため?アイディアを練るため?
脳にはさまざまな役割がありますが、そのうちの1つが「動作を可能にする」です。私はよくレッスン中に「〇〇筋を意識して下さい」と言いますが、これは上述の「脳が動作を可能にする」ということに関係しています。筋肉自らが意志を持って動こうとするのではなく、脳から筋肉に指令が出てはじめて筋肉が動くのです。なので、鍛えたい筋肉を意識することで、その筋肉を動かすための指令を脳から引き出そうとしているのです。
ところで、ホヤはお好きですか?ホヤは貝だと思っている方が多いと思いますが、実は貝ではありません。当然、魚でもなく、脊索動物なんです。ホヤは300個の神経細胞から成る脳を持っています。そして、驚くべきことに、幼生期にはオタマジャクシのように海の中を泳いでいるそうです😲そして、永住の地となる岩場やサンゴを見つけると、そこにくっついて、自らの脳を食べてしまうそうです!!
なぜ脳を食べてしまうのか・・・それは動く必要がなくなったからです。海を泳いでいた間は、動く(泳ぐ)ために脳が必要でしたが、いったんい岩場などにくっついてしまえば、それ以降は動く必要がないので、脳も用済みというわけです。
運動が脳の成長にどのような影響を与えるのか、もう少し掘り下げていきたいと思います。
野菜の苗を買ってきて、それを段ボールか何かに入れて、その辺に置いといても、芽が出て実がなることはないですよね?植物が育つには、水・太陽・土が不可欠です。どれか1つが欠けてもうまく育ちません。現代の土は昔の土に比べて、ミネラルなどの栄養素が低下しているという話も聞きます。土に栄養がない場合には、肥料を加えますよね?
実は脳にも肥料のような役割をする物質があります。BDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれるたんぱく質です。
2013年に行われた研究によると、20~30分程度の運動でも血中のBDNF濃度が32%も上がったそうです。また、運動後に単語の暗記を行うと、20%も覚える速度が上がったとする結果も出ました。
アメリカ・イリノイ州のネイパーヒルという地域では、こういった研究の結果を受けて、体育の授業に力を入れるようになったそうです。その地域の学校に通う約19,000人の生徒には、「肥満」に相当する生徒は一人もいなくなり(アメリカの一般的な学校は約3分の1の生徒が肥満に相当)、TIMSS(国際数学理科教育動向調査)では、数学で1位、理科で6位という好成績を収めたそうです。(それまでは上位校のほとんどはアジアの学校であり、アメリカの学校は大半が中間位)ちなみにネイパーヒル高校で導入したのは「早朝体育」の授業で、これは1時間目の授業の前に行われているそうです。
東大合格者数日本一の開成高校も運動会や部活動に非常に力を入れていて、高校3年生が大学受験に向けて本気を出すのは、5月の運動会が終わってからという話を聞いたことがあります。もちろん、開成高校に入るくらいですから、地頭も良いのだとは思いますが、運動に力を入れることで、更に脳の成長に磨きがかかっているのかもしれません。
私ももし息子が浪人生となったら、みっちり運動させようと思います😆お子さんの成績が伸び悩んでいる親御さんがいらっしゃたら、「勉強しなさい」よりも「運動しなさい、運動してから勉強しなさい」の方が効果的かもしれません・・・
文:真木
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