ニートは意外に大事

高校生の頃、某パン屋さんでバイトをしていました。私がいたのは店舗の方ではなく、店舗の上にあった小さな工場で、トレーに並べられた無数のパン生地に、チョコチップやリンゴをひたすら置いていくという、と～っても単調な仕事でした。忍耐力がない私は、あまりに単調な時間が耐えられず、数か月で辞めてしまいました。

 

その工場にいたのは、50～60代と思われる女性4人と高校生の私だけでした。私が勝手に心の中で、『主（ぬし）』と呼んでいたおば様は、勤続年数が20年位の超ベテランでした。主さんの脇は2人のおば様が固めており、高校生の私には、その2人のおば様は主さんの家来のように映っていました。残りの1人のおば様は新入りでした。私は高校生ということもあって、皆さん優しくしてくれたのですが、新入りのおば様への当たりは結構強いように感じました。新入りさんが主さんによく言われていたことが、「無駄に動くんじゃない」ということでした。

 

確かに主さんがおっしゃる通り、新入りさんは俊敏とは違うのですが、「やたら動く」感じがありました。小さな工場なのに、常に小走りでした。慣れていないので当然、何がどこに置いてあるか分からず、やたら探し回って、その間もずっと小走りなのです。その様子を見た主さんが、「なんでそんなちょこちょこ動くの！」と怒るわけです・・・。今思えば、主さんの怒りは理不尽ではありますが、新入りさんの「落ち着きに欠ける動き」が目に付くという気持ちもわからないでもなかったです。

 

 

主さんはどんな方だったかと言うと、「どっしり」と言う言葉がピッタリでした。超ベテランが醸し出す自信＋無駄のない動き＋貫禄のある体型（ごめんなさい）、全てが相まって「どっしり」としていました。一方の新入りさんは、制服である衛生白衣がブカブカなくらいひょろっとした体型でした。

 

 

 

 

 

ここからは、主さんと新入りさんの体型の違いは、もしかしたら「ニート」が関係しているのかもしれないという話です。

 

ニートと聞いて想像するニート（NEET）とは、Not in Education, Employment, or Trainingの頭文字で、就学・就労・職業訓練のいずれもしていないことを意味します。ですが、今回のニートはNEETではなく、NEATです。

 

NEATはNon Exercise Activity Thermogenesisの頭文字で、「非運動性熱生産」という意味です。

 

人間はエネルギーを消費して生きています。そして1日のうちに消費するエネルギーのうち50～70％は基礎代謝が占めています。基礎代謝とは、特に何もしていなくても消費されるエネルギーです。生きているというだけで、勝手に消費されます。（だから基礎代謝を上げた方が太りにくい）

 

残りのエネルギーは「身体活動」によって消費されます。つまり、体を動かすことで使われるエネルギー、ということです。例えば、シャキットでのレッスンは当然ながら身体活動に分類されます。また、トレーニングやスポーツといった「ザ・運動」以外であっても、体を動かすことは全てが「身体活動」になります。そして、ザ・運動以外の身体活動で使われるエネルギーのことを、「NEAT、非運動性熱生産」と呼びます。掃除機をかけることやゴミ出しなどはNEATと言えます。

 

ある調査によれば、肥満傾向の人のNEATは、そうでない人より顕著に少ない、という結果が出ているそうです。ザ・運動による身体活動ももちろん大切ですが、NEATを上げることが肥満防止の鍵になるということです。

 

無駄な動きのない主さんと、無駄な動きだらけの新入りさん、NEATを高めるという観点から言えば、新入りさんの動きは決して無駄ではなかったのです。

 

 

NEATを高めるためにできることには、どんなことがあるでしょうか？

 

★エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使う。

 

★公共交通機関を使う際には、目的地の1つ手前で降りて歩く。

 

★車移動を減らす

 

★車で買い物に行く時には、入り口から遠い場所に駐車する。

 

★買い物中はカートを使わない。

 

★料理中は足踏みをする。

 

★歯磨きは片足立ちでする。

 

★信号を渡る時は、急いでいなくても走る。

 

どれも些細なことですが、「ちりも積もれば山となる」が大事です。ちなみに私のおすすめは「貧乏ゆすり」です😄貧乏ゆすりを正当化するための言い訳かもしれませんが・・・

 

文：真木