この方の名前わかりますか~?名前をネットで検索したら、髪がある肖像画とないものと両方出てきて、どちらを載せたら良いものか迷ったので、両方載せてみました😅
ヒポクラテスです!現在ギリシャ領のコス島生まれで、紀元前460年頃の方です。コス島の現在の人口は約3万人で、観光と農業が主な産業だそうです。コス島の中心の町はこれまたコスと言い、ヒポクラテスはコスの町の真ん中あたりにあるプラタナスの木(別名ヒポクラテスの木)の下で医学を教えていたのだとか。ヒポクラテスが現代の人だったら、コス島の名誉島民ですね😊
医学の父、医聖、疫学の祖など、大変立派なあだ名(?)をたくさんお持ちのヒポクラテスの最大な功績は、「医学を迷信や呪術から切り離し、臨床と観察を重んじる科学へと発展させたこと」だそうです。つまり、病気が呪いや神様からの罰などによるものではなく、環境や生活習慣によるものだと考えた最初の人なんだそうです。
写真はコス島の街並みです。美しいですね~。ヒポクラテスの名言はたくさんあるのですが、ここでクイズです!〇〇に入る言葉はなんでしょうか?同じ言葉が入ります。
汝の〇〇を薬とし、汝の薬は〇〇とせよ
答えは・・・
「食事(もしくは食物)」です!
上述の通り、ヒポクラテスは病気は呪いなどの超自然的な力によるものではなく、環境や生活習慣、そして食事によってもたらされると考えたのです。
これは3人に2人が生活習慣病(がん、心疾患、脳血管疾患)で死亡する我々日本人には耳の痛い話です。2400年も昔に、ヒポクラテスは食事が病気を作ると看破し、食事によって病気を治せと説いていたのです。
では、どんな食事なら「薬」とすることができるのでしょうか?その答えを探すべく、ある本をご紹介します。シャキット文庫に加えますので、詳しく知りたい方は、是非読んでみて下さいね。
著者はがん専門医院である素問八王子クリニックの院長である真柄俊一医師です。
第1章には「フォークス・オーバー・ナイブス」という映画が紹介されています。フォークスは食べる時に使うフォーク、ナイブスはナイフの複数形で、食事で使うナイフではなく、医者が手術の時に使うナイフつまりメスのことを指しています。「(正しい)食事はメスに勝る」という意味です。
私はこの映画を見たことはないのですが、アメリカでは映画監督のジェームス・キャメロンや司会者のオプラ・ウィンフリー、医師や著名人に大絶賛され、この映画をきっかけに食習慣を見直した方も多かったそうです。
映画では、コリン・キャンベル博士の人生を辿(たど)っていきます。キャンベル博士はコーネル大学の栄養学教授です。世界的ベストセラー「The China Study」の著者でもあり、「栄養学界のアインシュタイン、ここ100年で最も影響力の大きい栄養学者」と言われています。ちなみに、キャンベル博士の最新作を近々シャキット文庫に追加したいと思っていますので、お楽しみに~😄
キャンベル博士の実家は酪農を営んでいました。映画の中で博士は、「完全食品と考えられていた牛乳の生産に誇りを感じていた」と回想します。
キャンベル博士はコーネル大学大学院を卒業後、マサチューセッツ工科大学の栄養学研究所で、研究者としての人生をスタートさせます。その後、31歳という若さでバージニア工科大学教授に就任し、後進国の栄養失調の子供たちの栄養改善のため、フィリピンへ調査に向かいます。
このフィリピン行きが博士の人生のターニング・ポイントとなったのです。フィリピンで調査を進める中、ある事象に博士は首をかしげることになったのです。
それは、「裕福な家庭で、良質な食事を与えられている子供に肝臓がんが多い」というものでした。この場合の「良質な食事」というのは、肉や牛乳などの高タンパクな食事です。
タンパク質には動物性と植物性がありますが、当時のアメリカでは、タンパク質と言えば動物性、つまり肉や牛乳、卵であり、動物性タンパク質の不足が後進国の子供たちの栄養失調の原因だと考えられていたのです。自身も「高タンパク質食の信奉者」であったキャンベル博士は、フィリピンでの調査結果に驚き、愕然としたようです。
動物性タンパク質と発がん性の関連性を明らかにすることは、酪農家の仕事を否定することにもつながります。普通の人間だったら、ここで目をつぶってしまいそうですが、科学者としての信念を貫き通したキャンベル博士は、その後、様々な研究により、動物性タンパク質の発がん性を証明しました。
ところが、キャンベル博士の発見は、世の中にすんなり受け入れられることはありませんでした。「肉=動物性タンパク質=健康・パワーの源」という刷り込みは想像以上に岩盤で、食品業界、医学界はもちろん、それらの業界をスポンサーとするメディアに封印され、さまざまな圧力や妨害を受けたそうです。
その後もキャンベル博士の挑戦は続きます。10年にわたって調査された「中国における食と習慣と死亡率」が発表されたのは、1990年のことでした。この研究は、ニューヨーク・タイムズ紙によって、「食生活と病の関連を調査した史上最も包括的な研究である。」と評価されています。
ではこの研究で得られた膨大なデータから導き出さされた答えは何だったのでしょうか?それは、
『菜食が健康に有効であり、動物性食品は有害である』
という答えでした。つまりメスに勝る食事というのは、野菜や豆類などの植物性食品を主とする食事、ということです。
実は、私、今、鹿肉のソーセージを食べながら、このブログを書いてます。ピリッと辛くて、最高に美味しいです😄
この本をシャキット文庫に加えるのも、シャキットのお客様に菜食主義をすすめたい!という意図があってのことではありません。こういう考えもあるのだということを知れて私自身は良かったと思うので、ご興味ある方はどうぞ読んでみて下さい程度の気持ちです。
最後にキャンベル博士の「冠動脈疾患の根絶と予防に関する全米会議」での言葉を載せておきます。
『安全でヘルシーな食習慣を推奨することに、我々はなぜ遠慮がちでなければならないのでしょうか。科学者たちはもはや、「国民は情報を与えられても、それを受け入れる準備ができていない」と決めつけることはできません。我々には、彼らに真実を伝え、それをどうするかを彼らに決めさせる誠実さが必要です。我々が推奨するガイドラインに従うよう、彼らに強制することはできません。しかし、これらのガイドラインを提供し、彼らに決めさせることはできます。私個人としては国民を強く信頼しています。我々は彼らに、植物の根や茎、種、花、果実、葉などで構成された食習慣は、最もヘルシーな食事法であり、我々が保証し、推奨し、促進できる唯一の食事法であることを伝える必要があります。』
本書には、食習慣を変えて命拾いした人の話、食習慣を変えることが難しい理由(意志の弱さなどではない)、植物性食品がなぜ良いのか、などが書かれています。何かしらの疾患をお持ちの方はもちろんですが、いたって健康という方も情報として知っておくには損はないかと思います。
文:真木
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