血液はどこでつくられる?

わたくし真木は小学生の頃、ひどいアトピー&便秘持ちでした。特に肘とか膝などの関節の裏側は、搔きむしり過ぎて血まみれで、母親に包帯をグルグル巻きにされていました。

 

そんな私を母が東京にある「お茶の水クリニック」という病院に連れて行きました。遠方なので、なかなか行けないのですが、それでも症状がひどい時には年に数回は通っていたように思います。

 

森下敬一先生という方が院長だったのですが、私は森下先生の記憶はほとんどなく、記憶にあるのは、クリニックの近くにある薄暗いレストランで、診察後に食べるランチが美味しかったことくらいです。

 

実は私はいまだに病院が苦手なのですが、お茶の水クリニックは子供心にも「怖い」という印象は全くありませんでした。注射などの「痛いこと」をされることが皆無だったからだと思います。病院に行くというより、プチ東京旅行といった気分でした。

 

 

小学生だった私は、森下先生の詳しい治療方針は知りませんでしたが、受診以降に変わったことは、食事でした。

 

当たり前に食べていた白米が玄米に代わり、牛乳や卵はなし、お肉も大豆でできた「肉もどき」になりました。小3から小4の2年間くらいは、学校の給食をやめ、お弁当を持たされていました。中身は上述の玄米や野菜、時々肉もどきです。

 

家に帰っても、おやつに出てくるのは、ふかしたさつまいも、おしゃぶり昆布、玄米のぽんせん、時々、大サービスで母が揚げたポテトチップスでした。

 

母親は私と同じものを食べていましたが、父と兄は普通の食事でしたので、白米やお肉が羨ましくて、よくふてくされていました。今なら玄米や野菜中心の食事も、おやつのさつまいもも美味しく食べれるのですが、小学生にはなかなかハードでした。ちなみに、上述のクリニック近くの薄暗いレストランも「玄米レストラン」だったのですが、そこで食べる玄米は、めったに出来ない外食だったからか、とても美味しく感じました。

 

森下先生のおかげで、アトピーも便秘もすっかり治り、小学校高学年には給食に戻りました。家での食事も以前ほど厳格ではないにせよ、母なりに気を付けていたように思います。

 

 

こちらの写真は、昭和3年3月3日生まれの森下先生が、2018年3月3日に90歳になられたお祝いの時のお姿です。お若いですね~。

 

残念ながら2019年の大みそかの夜に、直前までお仕事をされていたそうなのですが、浴室でのヒートショックで91歳で永眠されました。ピンピンコロリを地で行った感があります・・・。

 

その後、クリニックも閉院となったそうです。記憶があまりないとは言え、卒業生(?)としては、少し寂しい気持ちがありました。

 

森下先生が逝去され、お茶の水クリニックが閉院となったというのをネットで知り、初めて「森下先生はどんなことを主張されていたんだろう?」と興味を持つようになり、先生の著書を何冊か読んでみました。

 

薬も注射も使わず、私のアトピーと便秘を治してくれた森下先生を、母も私も素晴らしい医師として尊敬していますし、先生のおっしゃることは「間違いない」と信じているのですが、本を読んで色々な驚きがありました。

 

 

森下先生の提唱する「森下自然医学」は西洋医学とは全く違います。検査数値を頼りに、化学合成された薬によって病気を治療しようとする現代医学は、病気を根治することはできない、というのが森下先生のお考えです。もちろん救急・緊急の場合には薬が必要となることはありますが、そうでなければ薬には副作用もありますし、体に異物を入れるという意味での「薬害」もあり、病気を治すどころか、新たな病気を作り出しているとさえ言える、とおっしゃいます。

 

森下自然医学では、多くの病気の原因を「血液の汚れ」と捉え、食事療法によって、血液の汚れを解消・浄化し、細胞を活性化させることで、体を細胞レベルから回復させ、病気を根治させます。簡単に言ってしまえば、「食事で病気を治す」ということです。

 

 

森下先生が推奨する「玄米菜食」の詳しい内容については、ここには書きません。ご興味のある方は、シャキット文庫に森下先生の著書を追加しますので、読んでみて下さい。

 

今でこそ、「腸」の大切さが語られるようになり、「寝かせ玄米」などが人気になってきているようですが、森下先生が森下自然医学を提唱した数十年前には、東大医学部出身の医師に「玄米教教祖」などと揶揄されることもあったそうです。

 

 

 

森下先生に救われた元・患者としては、先生の主張は信じたいところなのですが、森下先生を「トンデモ論者」と考えている人も多いようです。

 

そう考えられてしまう理由の1つに「腸造血説」があります。解剖学や生理学などをかじったことがある方ならご存知かと思いますが、「血液は骨髄でつくられる」というのが現在の常識だと思います。私もそのように習いました。

 

ところが、森下先生は「血は腸でつくられる」と主張されていたのです。森下先生によれば、「消化とは、食物という物質が、赤血球という生命体に転換する働きである」のだそうです。これは驚きでした。

 

胃で初期消化された後、腸の粘膜に届いた食物が血をつくる、だからこそ質の悪い食べ物を摂っていると、血液が汚れ病気になる、ということのようです。

 

食べ物を変えることで体質が変わる、ということ身を持って体験した者としては、食べる物が血液の質に影響を与えるという話はなんとなく理解できますが、それは「血液が腸でつくられるから」という理論から来ているというのは、なかなかの衝撃でした。

 

 

本当に腸で血液がつくられるのかどうか、真偽のほどは私には当然わかりません。でも、それがもし本当だとしたら・・・長年にわたる食事などの生活習慣の歪みが、質の悪い血液をつくり、いわゆる生活習慣病などを招いているのだとしたら・・・薬を飲んだところで、根本原因を取り除かなければ、本当の意味での治癒はなしえないとしたら・・・

 

日本の医学界が「腸造血説」を受け入れることはないのかもしれませんが(薬が売れなくなるから・・・?)、私自身は森下先生の「教え」を胸に、完全なる玄米菜食には程遠いですが、血液を汚し過ぎない程度に食事に気を付けていきたいと思っています。

 

 

最後に、シャキット文庫のお知らせです。上記の3冊を加えます。「最強の自然医学健康法」と「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す」は森下先生の著書です。「生命の自覚」は森下先生と同様に「腸造血説」を提唱した生物学者である千島喜久男さんに関する内容です。こちらもとてもおもしろかったのですが、少々マニアックかも・・・?ご興味のある方は目を通してみて下さいね~。

 

文:真木