大事なのはそこじゃない

この「装置」見たこと、使ったことありますか?前屈でどれだけ手を前方に伸ばせるかを測れるそうです!これにより前屈の柔軟性がわかるそうです!

色々なメーカーから似たような器具が発売されているようですが、よく前屈だけのためにこれほどの物を作ったな~と企業努力に感心しちゃいます。でも、でも・・・心の奥底では「これ要らないんじゃない?」という思いが止められません😅

 

ちなみに購入された方の感想として、「健康のバロメーターとして前屈を測定。便利です!」という高評価がありましたが、前屈で手がどれほど伸びるかが、はたして「柔軟性のバロメーター」ましてや「健康のバロメーター」になるのでしょうか?!

 

 

真木の個人的な意見としては、柔軟性や健康のバロメーターにこれを使うのはどうかな~と思います。ただし、使用されているご本人が、この器具で「今日は昨日より3ミリ、手の位置が伸びた😆!」となり、その日一日を明るく前向きな気持ちで過ごせるのなら、それはとても良いことだと思いますし、そのメンタリティは必ず健康に影響するので、そういう意味では「健康のバロメーター」になるかもしれません。

 

「長座位前屈測定器」などと呼ばれるこの器具、安いものでも1万円オーバー、高いものだと4万円近いようです。高い!だったら他の物を買った方が良い気がします・・・。世の中には良いトレーニング道具が色々とありますので・・・。

 

 

そもそも論として、上の女性モデルの方も、こちらの男性モデルの方も、前屈の仕方が正しくありません。このやり方の前屈でどれだけ手の位置が伸びたところで、意味がないどころか、下手をすれば腰を痛めます。

 

 

こちらの女性の前屈はきれいです。ただ、このくらいの前屈ができる方には、この道具は必要ないかと思われます・・・。つまり、正しい前屈ができる方にとっては不要、間違った前屈をしている方にとっては、間違った前屈を助長する危険性があるかもしれないのです😭(この器具の製造・販売等に関わっている方がいらっしゃたらゴメンナサイ。また万が一、持っているという方いたら更にゴメンナサイ😅)

 

 

前屈で大事なのは、どれだけ遠くに手を伸ばせるかでもなければ、足指に手が届くかでもありません。簡単に言ってしまえば、背中を丸めないで、平らに保ったまま倒れられるか、もう少し厳密に言うと、骨盤を前傾させながら上体を倒せられるか、という点につきます。

 

左は骨盤後傾です。腰部と肩甲骨あたりに赤い小さな花火のような印がついていますが、その部分に過剰な負荷がかかることを表しています。右の骨盤前傾のケースでは、力の方向がオレンジの矢印で表されているように、腰を前方に押す方向に力が加わっていきます。一方の骨盤後傾のケースでは、腰部にかかる力の方向が真逆です。これでは、腰を痛めてしまう危険性があります。

 

 

前屈が苦手だからと、背中を誰かに押してもらったという経験は誰でもあるかと思いますが、この方法は全くおすすめできません。そもそも骨盤が後傾した状態で、いくら背中を押しても、腰椎にかかる負荷が増えるだけです。

 

では、長座位で自力で骨盤を前傾させることができない方はどうしたら良いのでしょうか?

お尻の下に座布団や畳んだタオルなどを入れて、お尻が高くなる状態を作ります。膝よりお尻が高くなると、骨盤を前傾方向に動かしやすくなります。

 

 

骨盤を前傾させると膝が曲がるという方は、膝の下にも丸めたタオル等を入れて下さい。しつこいですが、最優先すべきはどれだけ手を伸ばせられるかでも、どれだけ上体を倒せられるかでもなく、骨盤を前傾させたまま倒れられるかです。倒れる深さを気にするのは、骨盤前傾ができるようになってからの次の段階の話です。

 

文:真木