どれくらいねじれてる?

どちらも素晴らしい開脚です。おそらく男性は努力の賜物、赤ちゃんは成長前の柔らかな関節と筋肉が成せる技だと思います。

 

 

こちらのドラえもんのあぐらも美しいですね~。膝(?)がしっかりと床についています。大多数の方はあぐらの時、膝が床から浮いてしまうのではないでしょうか。

 

赤ちゃんやドラえもんのような特殊なケース、また生まれながらに柔軟性が高いという方を除き、多くの大人は開脚やあぐらの柔軟性を高めようとすると、かなりの努力が必要になります。

 

ところで、この「生まれながらに柔軟性が高い人」というのは一体どういうことなのでしょう?そうでない人と何がどう違うのでしょう?全体的に柔らかい方もいれば、ある部位が特段に柔らかいという方もいらっしゃいます。特に上記で例に挙げた「開脚」と「あぐら」に関しては、なんの努力もしなくても「最初からでき」て、年を重ねて他の部位の柔軟性が落ちてきても、「相変わらずできる」という方がいらっしゃいます。

 

これは「努力によって筋肉の伸びを良くした」のではなく、そもそも開脚やあぐらができる「構造」になっているケースが多いようです。

 

 

これは本物の大腿骨(太ももの骨)です。先端の形が全く違いますね。どちらかが異常、どちらかが正常、とうわけではありません。どちらも正常な、よくある大腿骨です。

 

さて、この2本の大腿骨のうち、開脚が得意なのはどちらの大腿骨だと思いますか?

 

 

 

 

 

こちらのイラストは、上の写真の左の大腿骨(先端が直角)が開脚をしようとした時にどうなるかを表しています。

 

大腿骨の骨頭(ボール状の部分)が滑っていくことで、足を外側へ開いていくのですが、イラストではたった20度足を開いただけで、大腿骨の先端(山型の頂上部分)が骨盤にぶつかってしまうのがわかります。

 

 

 

 

 

では上の写真の右側の大腿骨(直角ではない方)が開脚をしようとした時はどうでしょうか?

 

直角タイプの大腿骨とは違い40度まで開いてようやく先端部分が骨盤にぶつかります。

 

つまり、写真の2本の大腿骨のうち、開脚を得意とするのは右の大腿骨ということになります。もちろん開脚をする時には、大腿骨の先端の形だけでなく、お尻の筋肉の柔らかさ等々、いろいろな要素が絡まってきますので、これだけが決定打になるわけではありません。ただし、「有利である」というのは紛れもない事実です。

 

皆さんの大腿骨がどちらの形に近いか・・・それは骨になってみないと正確には分かりませんが、立った状態で骨盤を固定して、足を外側に開いてみた時に、さほど開いていないのに、足が止まる・骨盤に当たる感じがあるという方は、大腿骨の先端が直角に近いのかもしれません。反対に、どこまででも開ける感じがあるという方は大腿骨の先端が直線に近いのかもしれません。

 

「開いた方が良い」と思う方も多いかもしれませんが、どちらが良い、どちらがダメということではありません。「そういう構造である」それだけです。開かない構造の方は、周りの筋肉を柔らかくし可動性を落とさない努力が必要ですし、開く構造の方は、緩い関節を支えるための筋肉をしっかりとつける努力が必要です。努力の形は違えど、「良い状態」を保つためには日々の鍛錬が重要ということに変わりはありません😊

 

 

今度は大腿骨を上から見てみたいと思います。上から見た形も全然違いますね~。

これだけ形に違いがあったら、「同じようには動かない」というのは想像に難くありません。

 

ご自分のはどんな形をしているか、気になりませんか?先ほども書きましたが、正確には「骨になってみないとわからない」わけではありますが、予測する方法はあるんです😊

 

 

 

 

 

 

教科書で「正常」と紹介されるのは真ん中(A)です。大腿骨を上から見た時に、大腿骨頭(ボール)が15度ほど前にねじれているのが「正常」です。そもそもこれを「正常」と表現するのが間違いの始まりのような気もするのですが、分かりやすく「正常」でいきます。

 

ねじれの角度が15度より大きいのが右端(B)、ねじれの角度が小さいのが左端(C)となります。さて、皆さんの「ねじれ具合」はどんなもんでしょうか😄

 

ちなみに真木は美容室で美容師さんに「頭頂部(の髪)がやたらクセが強いですね。」と言われ、「髪に協調性がないんです。」と返答したら「性格もですもんね。」とクギを刺された経験があるのですが、私はシャキットのお客様の大腿骨がどれだけねじれていようと、「性格もねじ曲がってますもんね。」とは言いませんのでご安心を😄

 

2種類の「テスト」をします。

 

 

1つ目は座って行います。股関節がどれだけ「内旋」するかを調べます。内旋は内巻きに似た動きです。太ももを座面から離さないようにして、膝下を外に開きます。

 

レギンスの女性は赤線よりだいぶ開いていますが、短パンの男性はあまり開きません。この女性は内旋の可動域が大きく、この男性は内旋の可動域が小さい、ということになります。

 

 

同じ姿勢で、「外旋」も調べます。外旋は外巻きに似た動きです。内旋と同様に、太ももを座面から離さないで、膝下を内側に入れます。

 

外旋は、女性が赤線よりあまり内側に入らず、男性の方は大きく入っています。つまり、この女性は外旋の可動域が小さい、この男性は外旋の可動域が大きい、ということを意味しています。「外」旋なのに「内」側というのがややこしいですが・・・

 

 

2つ目のテストはうつ伏せで行います。同じく、内旋・外旋を調べます。まずは内旋です。

 

前ももを台から離さないで、膝下を外側に開きます。座って行う時と同じように、女性は内旋の可動域が大きいのが分かります。同様に、男性は内旋の可動域が小さいことも分かります。

 

 

外旋の可動域は、これまた座って行った時と同様に、女性は小さい、男性は大きい、という結果になりました。

 

2種類のテストの結果をまとめると・・・

 

女性→座った場合も、うつ伏せの場合も、内旋>外旋

男性→座った場合も、うつ伏せの場合も、内旋<外旋

 

となりました。この結果から推測できる、それぞれの大腿骨の「ねじれ具合」は・・・

 

 

女性はおそらく右(B)のねじれの角度が大きいタイプの大腿骨、男性はおそらく左(C)のねじれの角度が小さいタイプの大腿骨の持ち主だと推測できます。また、内旋、外旋の差があまりないという方は、いわゆる「正常」タイプの大腿骨をお持ちだと思われます。

 

以上、「内旋・外旋から分かるあなた様の大腿骨のねじれ具合!」でした~😊めでたし、めでたし😄ではありません。この話、もう少しだけ続きがあります。

 

 

大腿骨のねじれの程度がスクワットの形に大きく影響するのです。ねじれの強い大腿骨を持っている女性は、つま先を正面(もしくはわずかに外向き)にし、足幅は骨盤の幅(もしくはやや狭く)した方が、スクワットの際に腰を深く落とすことができます。2枚目の画像のようにつま先を外に向けたり、足幅を広くすると、深く落とせなくなり、安定性も悪くなります。

 

 

ねじれが小さい大腿骨を持っている男性は、つま先を外に向け、足幅もやや広めにした方が、お尻を深く落とすことが可能になります。(1枚目の画像のように、つま先の向きは膝のお皿の向きと同じになるのが理想的なので、過度に開くことはおすすめしません。)2枚目の画像のように、つま先を正面に向けたり、足幅を狭めると、腰を落とせていませんね。

 

ということで、ご自身のねじれの程度が分かったら、スクワットの姿勢も見直してみると良いかもしれません。もちろん、大腿骨のねじれ具合がスクワットのフォームに影響を与える唯一の要因というわけではありません。他にもいろいろな要素が関わってきます。ぜひご自身の「構造」に最も適した、ご自身にとっての「ベスト」のスクワットを見つけていただきたいと思います😊スクワットは「奥が深い」ので、ぜひ究めてみて下さい😊

 

文:真木