留学していた頃、時々、渡部昇一先生という方の本を読んでいました。上智大学の教授をされていた渡部昇一先生は、英語学者でもあり評論家でもあり歴史家でもありました。渡部先生が書かれた英語の本も勉強になりましたが、特に歴史の本が好きでした。
アメリカで時々薄っすらと感じた「人種差別的なこと」でイヤ~な気分になった時には、渡部先生の本を読んで、「日本は良い国なだな~。昔の日本人は立派だったんだな~。アメリカ人なんかに負けるか!」と一人鼻息を荒げていました😅
そんな風に、私の留学生活の一部は渡部先生の本に支えられていたのですが、先生の本の中に「知的正直さ」という言葉があります。
出来ないことや、わからないことがあった時に、自分をごまかしてわかった気にならずに、その時点ではわからないということを認め、時間を耐えながら、わかるようになるまで努力していくという精神が「知的正直さ」です。
私なんかは中高生の頃に、数学でわからない問題が出てくると、ちょっとの間だけ眺めて、解答を見て「納得する」ということをよくやっていました。思い返せば「知的正直さ」の欠片もない行動で、当然ながら数学は一向にできるようになりませんでした。あの時、もう少し「知的正直さ」を持ち合わせていたら・・・と今更ながら思います。
この「知的正直さ」という精神を、トレーニングに応用することをできるのではないかな~と思います。中高時代の私のように、「解答をみて理解したような気になる」なんていうのは論外ですが、トレーニングでも「形をなんとなく真似たことで、使われるべき筋肉を使った気になる」という事態は往々にしてあることだと思います。
ということで、今回は「知的正直さ」をな、な、なんと、「大殿筋」に当てはめて考えてみたいと思います😄ご自身の大殿筋が、偽ることなく、正直に働いているかどうか、ぜひ見極めてみて下さい!
挑戦するのは、イラストの動きです。まずはノーヒントで試してみていただきたいと思いますので、意識すべきポイント等は書きません。
うつ伏せで赤矢印の方向へ足を上げるだけです。さて、どこに効いていますか?とても単純な動きですが、「知的正直さ」をもって行うと、難易度はグ~ンと上がるはずです。大殿筋で上げれていますか?大殿筋の代わりに腰が頑張ってませんか?ハムストリング(もも裏)や前ももはどうですか?
大殿筋で上げれている感じがなかった方は、大殿筋に効かせるためのポイントをいくつか書いていきますので、参考にしてみて下さい。少々つまらない話になるかもしれませんが耐えて下さい・・・。
2体のガイコツ、わずかに違いがあるのですが、どこだか分かりますか?ちなみに上のガイコツは大殿筋で右足を上げれていますが、下のガイコツは大殿筋をあまり使えていません。下のガイコツはたぶん腰が痛くなるか、痛くないとしても腰椎が潰れる感じがあるかと思います。
尾骨(骨盤のしっぽのような部分)を見ると、上のガイコツは骨盤がやや後傾しているのですが、下のガイコツは骨盤が前傾しているのがわかります。要は、下のガイコツは腰椎が反ってしまっていて、大殿筋よりも腰を反らせることで、足を「上げてるように見える」だけなのです。下のガイコツの大殿筋は知的正直さが不十分、と言えると思います。
ちなみに、うつ伏せで足を上に持ち上げる動きを、「股関節の伸展」と呼びます。股関節の伸展の可動域はどれくらいかと言うと、大体15度です。つまり・・・股関節の伸展の可動域というのは、元々さほど大きくないのです。言い換えれば、うつ伏せで足がやたら高く上がるのであれば、それはもしかしたら、股関節の動きなのではなく、腰が反っているだけなのかもしれません。
「股関節の伸展は15度くらいしかない」ということを踏まえて、上記の画像を見てみて下さい。上段が足を上げる前、下段が足を上げている時です。少々見づらいかもしれませんが、それほど高くは上がっていませんよね?腰痛を反らせないで上げようとすると、これくらいしか上がらないのが正解というわけです。
ちなみに、こちらの画像は下腹部の下あたりに枕を入れていますが、うつ伏せになると骨盤が前傾してしまい(腰が反る)、自力で後傾させることが難しいという場合には、こんな風にすると骨盤を後傾しやすくなると思います。
足部を「上げよう、上げよう」と意識すると、腰椎を反らせて足先で引っ張りげたくなると思います。私個人としては、「膝を浮かせる」意識をした方が、大殿筋に効かせやすいと思います。
また、つま先の向きを天井に向けると、これまた引っ張り上げたくなると思いますので、かかとから上げるようにするのがおすすめです。
「こうした方が大殿筋に効かせやすい」というのは個人差があると思います。上記に書いた以外で、大殿筋に効かせるためのポイントを発見できたら、是非教えて下さい😊
筋トレは慣れてくると「惰性」でできてしまうと思いますが、慣れてきた時こそ「効かせる部位に効いているのか」を感じ取りながら行うことが大切だと思います。私自身も日々のトレーニングに「知的正直さ」を持って向かい合っていきたいと思います😄
文:真木
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