骨盤前傾も膝の痛みもあれが原因？

右膝を正面から見たイラストです。真ん中あたりにあるのが膝蓋骨（しつがいこつ）、いわゆる膝のお皿です。

大腿四頭筋の「端っこ」は腱となって膝蓋骨にくっ付いています。（大腿四頭筋に限らず、筋肉が骨に直接くっ付くことはなく、腱という「仲介屋」を通して骨に付着しています。）

こちらは膝を横から見たイラストです。

膝蓋骨は特殊な動きをする骨で、膝の曲げ伸ばしの時に上下左右に動きます。そしてこの動きに大きく影響するのが大腿四頭筋です。

膝蓋骨の動きの悪さ（動きづらい、過剰に動く、あらぬ方向に動く）は膝の痛みの原因になることがありますが、これは膝蓋骨そのものによるのではなく、それを動かしている大腿四頭筋が黒幕というケースが多々あります。

膝蓋骨の動きの悪さの原因が大腿四頭筋にあるとして、「大腿四頭筋が硬い、だから膝蓋骨の動きも悪くなって膝が痛くなる。だったら大腿四頭筋を伸ばせば膝蓋骨の動きが改善して、膝の痛みも良くなる」と考えるのは早計です。

そもそもなぜ大腿四頭筋が硬くなったのか、を考えなければ、根本原因の解消にはなりません。日々、激しくトレーニングをしているアスリートでもない限り、我々現代人の筋肉が硬くなる原因は「動かさなさ過ぎ」が大半です。

動かない→硬くなる→弱くなる→ますます動かなくなる→ますます硬くなる、これが多くの現代人の筋肉に起こっていることです。これは大腿四頭筋に限らず、肩こりや腰痛といった慢性痛の原因にもなっていることです。「肩が凝ったからほぐす」が根本的な解決方法ではない（完治しない）ことはマッサージ等に通う習慣のある方なら気づいていらっしゃると思います。（マッサージにはメリットもたくさんあるので、否定ではありません。）

膝の痛みにお悩みの方は、大腿四頭筋を伸ばすことばかりに集中せず、動かす・鍛えるを最優先にすると良いと思います。ご自宅で簡単にできるエクササイズとして下記に2つご紹介します。強度が低めのエクササイズなので、スクワット系の動きに不安がある方でも問題なく行えると思います。

画像のように片膝を立てて座ります。膝の下に丸めたタオル等を入れ、そのタオルを膝裏で押しつぶすようにします。大腿四頭筋に力が入るのがわかるでしょうか？

「5～6秒押してゆるめる」を10～20回行うと良いと思います。

2つ目は片膝を立てて仰向けになります。腰の下に隙間があかないよう、腰を床に押し付けた状態で、伸ばしている足を上げます。

高さよりも腰椎が反っていないか、大腿四頭筋に力は入っているか、上げている足の膝は曲がっていないかを意識します。「上げて5～6秒止めて下ろす」を10～20回ほど行います。

膝痛にはまずはストレッチよりも鍛えるという話はここまでです。打って変わって、大腿四頭筋を伸ばした方が良いケースもあります。それが・・・

反り腰（骨盤前傾）の皆様です！

イラストは横から見た骨盤です。円としてイメージすると分かりやすいと思います。赤い下矢印で表されているのが大腿四頭筋の1つ、中央・表面にある大腿直筋の力です。

大腿直筋は一番上の画像で見てみると、骨盤にくっ付いているのが分かります。大腿直筋が硬くなると、骨盤を前下方へ引っ張ってしまい、結果として骨盤が前方へ傾く（骨盤が前傾する）というわけです。

大腿直筋が硬くて骨盤が前傾してしまっている方におすすめしたいのがこちらのストレッチです。後ろの足の大腿四頭筋が伸びます😊

なのですが・・・画像の女性のやり方は少々もったいない😭あそこをもうちょっとだけああしたら良いのになぁ～と思う点があるのですが、どこだと思いますか？ヒントは骨盤・・・

骨盤前傾を直すために大腿直筋を伸ばしたいのに、骨盤が前傾しちゃってるじゃないですかぁぁ・・・。こんなやり方では本末転倒です。

正しくはこちら！骨盤を後傾させて行います。ちなみに画像の男性は壁を使っていませんが、こんな風に手で足部を持って行ってもOKです。

この姿勢で骨盤後傾できますか？お尻の穴を真下に向けるようにしてみて下さい。お尻に力が入って、骨盤後傾を強めるほどに大腿四頭筋の伸びが強くなるのが分かると思います。

自分に必要なのは鍛えることなのかストレッチなのかを見極め、最大・最強の大腿四頭筋と上手につき合っていきたいものです😊

文：真木