「マシュマロ」から目をそらすには

「マシュマロ実験」って聞いたことありますか?スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルによって1960年代後半から1970年代前半にかけて行われた実験で、延べ600人以上の子供が参加したそうです。

 

1970年に行われた実験では186人の4歳児が参加しました。実験は子供が実際に通っている幼稚園の中の、机と椅子しかない一室で行われました。その部屋で椅子に座らされた子供は、職員から「机の上のマシュマロを君にあげるよ。私は15分したら戻ってくるから、もし15分間そのマシュマロを食べないでいたら、もう1つマシュマロをあげよう。でももし私が戻ってくる前にマシュマロを食べてしまったら、2つ目はなしだよ。」とだけ言って部屋を出ます。

 

子供がどういう行動を取るかは隠しカメラで記録されていました。マシュマロにすぐに手を伸ばした子は少数で、多くは頭を抱えたり、机を蹴ったり、マシュマロを凝視したり、なでたり、匂いを嗅いだり、ちょろっと舐めたり、中の方がだけを食べたという子供もいたそうです。さて、2つ目のマシュマロを手に入れた子供は何人くらいいたと思いますか?

 

 

およそ3分の1の子供たちが2個目のマシュマロを手に入れたそうです。逆を言えば、3人に2人は我慢できなかったことになります。

 

大人にとっては15分間マシュマロを我慢するのはどうってことありませんが、我々大人も「自制心」で抵抗できないことってけっこうありませんか?例えばスマホ、スイーツやお酒といった嗜好品などなど。

 

マシュマロ実験には続きがあって、1988年と2011年に追跡調査が行われました。1988年の調査では、就学前の自制心の有無は十数年後にも持続しており、マシュマロを食べなかった子は食べた子よりもSAT(アメリカの大学進学適正試験)で平均210点も点数が高く、肥満になる傾向は低い、ということが判明したそうです。そして2011年の調査でも同じ傾向性が持続していることが明らかになりました。

 

実験に参加した子供の大脳を撮影した結果、集中力に関係する部位(前頭前皮質など)の活動度に明確な違いが認められたそうで、スタンフォード大学では「人間行動に関する、最も成功した実験の1つ」と言われているそうです。もちろん、反論する学者もいるようではあります。

 

 

4歳の私がマシュマロ実験に参加していたら、きっと耐えられなかったのではないかな~と思います。昨日はシャキット定休日でしたが、午前中に食材を買いに行き、苦手&大嫌いな料理をせねばと意気込んだのは午後1時。少しスマホをいじってからと思い、1時半には「2時になったら始めよう」、2時を過ぎたら「あと10分だけ・・・」と結局、台所に立ったのは15時でした。意気込んでから2時間、スマホで何をしていたかと言えば、記憶にないので、大したことはしていなかったということです😭

 

ところで、2つ目のマシュマロを手に入れ子供たちは、15分間どうやって我慢したと思いますか?

 

食べなかった子供たちは、目を閉じたり、机につっぷしたり、後ろを向いて歌を歌ったり、自分で遊びをあみ出して遊んだりと、要はマシュマロから「気をそらした」のだそうです。食べてしまった子供たちがマシュマロを凝視しつつ我慢しようと試みたのとは違い、マシュマロの存在を忘れるようにしたというわけです。正に「作戦勝ち」です。

 

 

この商品ご存知ですか?こんな風にスマホなどを入れて、自分で時間を設定して蓋をすると、設定時間になるまでは蓋が開かなくなるそうです。息子が浪人生活を始めた頃に、この商品が欲しいと言ったのですが、私は確か「自制心があれば、こんなしょうもない物は要らない」という感じで突っぱねたのです。マシュマロ実験のことを知り、「携帯をさわりたいという欲求を我慢するあまり頭の中はそのことでいっぱい」となるくらいなら、「携帯にさわれない状況を作り、やるべきことを先に済ませる」という習慣をつくった方が、作戦としては良かったのかな~と反省しました。息子には与えなかったこの商品・・・自分用に購入してみようかなと今、検討中です。

 

 

 

 

 

 

目標がある時や何かを習慣化したいという時に、自制心や意志の力だけで達成するというのは容易いことではありませんよね。達成させるための作戦を練ることも大切なのかもしれません。

 

レッスンのご予約をされる時に、「入れとかないと来ないから・・・」というお話をよく聞きます。これも運動を続けて習慣化させるための作戦ですよね。

 

そして、予約制にしているのは、私たち店側の作戦でもあります。「いつでも好きな時間に」というタイプのジムもありますが、そういう所は「幽霊会員」も多いと聞きます。要は、月会費を払うだけ払って、ほとんど行かないというお客様が多いということです。「いつでも行ける」はついつい「いつでも行けるから今日は行かない」になってしまうのかもしれません。幽霊会員は店側からしたら「ありがたい存在」かもしれませんが、シャキットとしては、お金を払った以上はしっかり通って、しっかり体力・筋力をつけて、元を取っていただきたい!と思っています😊

 

このネット社会にありながら、いちいち口頭で予約して、手書きの回数券にヘンテコな判子まで押される、というひと手間もふた手間も必要な超アナログな予約方法をとることで、「幽霊会員を予防したい!」という思惑があります。ネット予約等のシステムを導入すると、その分のお金もかかるので、少しでも料金を抑えるためにという思惑もありますが・・・。ということで、シャキットはこのままアナログで突っ走りますので、どうかお付き合いくださいませ・・・。

 

文:真木